十津川演奏旅行

1998年3月14日、奈良交響楽団は十津川村に訪問し演奏会を行いました。 ここで、団員が記した演奏旅行記を紹介いたします。

あるこんとらばすひきの十津川紀行

3月14-15日、奈良交響楽団の十津川村巡回公演 (北海道新十津川町との交流演奏会)へ行きました。ここではその時あったことをだらだらと書いてみました。

1998年3月14日 土曜日

朝6時、目が覚める。というより、起きなきゃいけなかったのだが。朝食のパンをかじり、支度を整える。

7時10分頃寮を出る。櫟本のバス停のところでバスが停まっている。運転手さんは私が乗るまで待ってくれた。ありがとう。

7時45分奈良に着き、中央公民館へ。コントラバスなどの楽器をトラックに積み込まないといけないため、 8時にここへ集まることになっていた。 10分前に着いた時はまだ私とベースのパートリーダーのS女史のみだった。徐々に人が集まり、トラックも到着。

本来私は貸し切りバスに乗ることになっていたが、積み込み参加のためにバスには乗れなかった。そこで積み込み後、N氏の車に乗って。大和八木駅へ向かう。大和八木でバスに追いつき、バスへ乗り換え。そして国道168号線の山道をひたすら進む。

それにしても国道168号線、くねくね曲がっていたり1車線しかなかったり。まさに山道である………ZZZzzz...

11時45分、谷瀬の吊り橋に到着。現地の観光名所の一つである。全長297メートルと非常に大きい。昼食をとった後、吊り橋を渡ることに。

やや高所恐怖症の私だったが、金網がしっかり張ってあり落ちる心配はしなくていい。
が、揺れる。
気持ち悪くなってきた。途中で引き返す人もいた。

12時45分に出発。十津川村体育文化センターへ向かう。が、もう少しというところでいきなりバスが止まる。前を見ると前の車も止まっている。工事のおっちゃんがやってきてバスの運転手に説明している。

なんと、
工事のため13時から14時まで通行止め。

バスを降りて外の空気を吸う人、バスの中で寝ている人、いろいろいた。全く年度末だからってこんなところでまで工事するなよなぁ。

14時に10分だけ開通。ようやく通ることができた。

14時半、ようやく会場に到着。既に先発の方がセッティングを終えていた。

15時少し前にリハーサル開始。チャイコフスキー「くるみ割り人形」は去年の秋の定演で演奏した組曲プラス3曲、さらにストーリーの語りも入れた音楽物語。ナレーションの石田さんは北海道新十津川町出身ということで今回の交流演奏会へ参加することになった。

楽器紹介では各パートのコメントと演奏を。中身は当日のお楽しみ。

「サウンドオブミュージック」からも3曲。ここでは石田さんは歌を披露。また「ドレミの歌」では会場に来た人(特に子供たち)と一緒に歌うということになっているが果たしてうまく行くかどうか。

それにしても、寒い。暖房ないのね。

17時半リハーサル終了。宿へ向かう。人数が多いため、3グループに分かれてそれぞれ別の民宿へ。私は民宿「かたやま」へ。

18時半、夕食。いろいろあって量も多かった。夕食の後、外の銭湯(温泉)へ行く人もいたが、雨が降ってきていたので私はパス。民宿内の浴場も温泉を利用したものでなかなか良かった。その後チェロのおぢさま2人とバイオリンの奥様方4人と酒を飲みつつ夜は更ける。

24時寝る。

1998年3月15日 日曜日

朝7時、目が覚める。外は雨。

7時半、朝食。また豪華。

9時少し前民宿を出る。役場まで歩き、バスで会場へ。

9時半リハーサル開始。着々と進み、準備も万端…………かなぁ。やはり会場は寒く、控室のみ暖房が効いているので休憩中はみんな控室に集まっていた。

11時半リハーサル終了。昼食後、本番用の衣装に着替える。 …………ん!?既に会場に客が数人。開場予定時刻(13時)までまだ20分ほどあるのに。まあいいか。とか言っているうちに会場の2階もお客さんで埋まる。全部で300人ほど。

13時半開演。主催者の方々の挨拶の後、石田さん、指揮者の中田先生が登場。指揮台には小さなくるみ割り人形が。石田さんがストーリーを語りながらくるみ割り人形を一番前の席に座っている女の子に渡す。なかなか微笑ましい。

途中、会場横の非常口のドアがばんっ と開いた。次の瞬間、おっさんがオケと客席の間をダッシュで横切り空いていた席へ座る。まったくもー(笑)。

そして、休憩、楽器紹介の後、サウンドオブミュージック。 1曲目が終わったところで、さっきのおっさんが持っていた小さな花束を石田さんに渡す。そう言えばこのおっさん、昨日のリハーサルも見学に来ていた。

15時半、無事終了。十津川村の人達はオーケストラの演奏を聴くのは初めてだったそうだが、どのような感想を持ったのだろうか。最後に村側の主催者が「感動をありがとうございました」と締めくくった。

地方の方々とこのように音楽を通じて交流することができたのは貴重な体験だった。今度は演奏ではなく、観光で行ってみたいという気分になった。

16時会場を後にする。

帰りのバスでは爆睡。途中雪が降っていた。

19時半大和八木で解散。

21時15分寮に戻る。