エチュード

「どぼろく」のクラシック知ったかぶり講座(その2)

[1999/05/30 第35回定期演奏会]

本日の演奏会のオープニングを飾るのは、ドヴォルザーク作曲の序曲「謝肉祭」です。
ところで、みなさんは、「謝肉祭」とはどういうものかご存じでしょうか?
もしかしたら「カーニバル」という言葉の方がピンと来るかもしれません。
そう、「リオのカーニバル」の「カーニバル」です。
謝肉祭は、もともと、ローマ時代に12月から1月にかけて行われていた農神祭が、キリスト教徒によって受け継がれ、それがヨーロッパの北方では宗教的な意義をもつクリスマスとなり、南方では お祭り騒ぎを主とした謝肉祭(カーニバル)となったものなのです。有名なリアのカーニバルも、同じ期限を持ちますが、独特のラテン気質に育まれ現在のような世界的に有名な祭りになりました。

現在のカーニバルは、4月はじめの復活祭(イースター)までの40日間の四旬節(肉を絶ち、精進する期間)の直前の3から8日間行われます。ですから季節でいえば、まだ春遠い2月の初旬になります。
もともと、カーニバルという言葉は、ラテン語の「カルナ=ヴァーレ」(肉よ、さらば)が語源とされます。要するに、精進の前に思いっきりはめをはずして楽しもうという事なんでしょう。

有名なリオのカーニバルとは違いヨーロッパのそれはもう少し行儀がよくて、仮装パレードやコント、他愛もないいたずら(見知らぬ人を風船の棒でたたいたり、水鉄砲で水をかける、たまごをぶつける等)、あるいは キャンディの大盤振る舞い等が行われています(昔は、動物虐待や泥棒にはいるといったことも行われていたようです)。こうした様子は、期間中、いくつものテレビ局が何時間も中継していて、現地の日本人にとっては、退屈だと思う人も多いようです。

古今東西「カーニバル」をテーマにした作品は数多く、思いつくだけでもシューマンの「謝肉祭」、ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」、中森明菜の「謝肉祭」までいろいろとあります(実は、本日2曲目のグラズノフにも「謝肉祭」序曲という作品があります)。

いずれの曲にも共通するのは、謝肉祭での人々の熱狂と狂操、あるいは仮想行列に名を借りた皮肉、パロディーなどですが、その中にもそれぞれの作曲家の持ち味が出ていて、なかなか興味深いものがあります。これを機会にいろいろな「謝肉祭」に挑戦されてはいかがでしょうか?

(ペンネーム:どぼろく)